資格を取得して苦境を脱出!のはずが「農業ってどうなの?」とは...
そうだ、俺は果物を作りたかったんだ‼
会社倒産危機発生から遡ること更に一年前の事。市が農協と組んで新規就農者を募集しているポスターをたまたま見かけ、その気があった訳でもないのだが、話を聞きに行っていた。私はイチジクを作りたかったのだが、イチゴを勧められた。私は果物が好きだが、その中でイチゴはそれ程でもない。私にはちょっと酸っぱいのだ。それであまり気乗りもせず、話を一通り聞いただけだったのだが、会社の危機でその時の事を思い出した。私は新規就農に応募する前にまず、市が毎年開催している一年間の農業塾に応募した。我ながら冷静な判断だった、と言いたい所だが妻の冷静なアドバイスだった。
農業塾は2020年の9月から始まった。一週間おきの木曜日朝9時からに開催されるので、普通の勤め人には参加は難しいのだが、幸か不幸か会社の受注はすっかり減っていたので、何とか有給休暇等で対応できた。農業塾では季節に応じて様々な野菜の栽培を行い、基礎を教えて頂いた。しかし、もう一つの目的は農業塾を通じて市の農業課や農協の方、地元の農家の方との接点を作ることだった。その中で私はブドウの栽培に惹かれて行く。「自分が黒々と鈍く光る大粒のブドウを作れるなんて...」
二兎を追っちゃうと...
そのような訳で私は、全然余裕が無いにもかかわらず農業塾に参加しながら、行政書士の勉強をする事となった。特に土日の貴重な時間を農作業や野菜の出荷に取られるのは辛かったが、先の見えない不安の中で、「何か」をしているだけで安らぎを感じていた。