さて、東京すしアカデミー流の捌き方も確認出来たので実際にやってみたい。
東京すしアカデミーに授業の見学に行った時も、アジを捌いていたし
まんが本もアジで説明している。実際アジは安くて、どこのスーパーにも
置いてある。いや、ところがそれが今年は置いてないのだ。
アジは年中見かけるような気もするが、旬は夏。
私が定置網漁船に乗っていた、石川県能登でも春から夏にかけての主役はアジだった。
漁に出ると、その日獲れた魚がもらえる。私がいた網元は超ケチだったので、
高い魚はもらえない。でもアジは大量に獲れるし、高級魚でもないので
その時期は毎日貰ったアジを食べていた。子供の頃から魚好きだった私だが
その中ではアジはそれ程好きではなかった。もちろん嫌いという訳でもないのだが、
味にパンチが無いというかなんというか、魚屋に行っても「今日はこれといった物が無い
から、アジにしとくか。」といった感じだった。
アジに目覚めたのはその能登に行ってからだ。一番感心したのは飽きない事だ。
毎日、昼食夕飯と食べても「うまいなー」
そのアジが夏になっても余り見かけない。私が毎週末行くスーパーでも以前は
皿盛りで手ごろな値段で売っていたものが、すっかり見られなくなった。
あっても一匹売りでとても買う気にならないような値段がついている。
アジの事は特にニュースにもなっていないが、何年も前からサンマやスルメイカ、
サケの不漁は社会問題化しているし、イセエビが東北で獲れる様になるなど、
本来獲れる地域や季節が変わる様な事も起きている。
原因は温暖化か日本独自の獲り過ぎや有名無実の資源管理か、いずれにせよ
魚好きとして、そしてこれから魚で仕事をしていこうとしている人間として
心配な状況だ。もっと真剣に取り組まなければならない問題のはずだ。