2020年、一回目の行政書士試験に軽くKO負けを喫した私は、当然のごとく再戦をアピールした。しかし二回目の挑戦で僅差で判定負けした時のダメージは大きかった。まさに勉強一筋の一年半であったからだ。
私は酒飲みではないが、ワイン(3L入り極安パックワインだが)無しでパスタを食べるのは「お楽しみ」ではなく「栄養摂取作業」っぽくなっちゃうし、極辛エビチリを口に放り込んだ後は、清く正しい白飯でなく、第三のビールで追っかけたい。
またその頃、何の嫌がらせか、NHKがウルトラセブンの4Kリマスター版を放送して、私の勉強を妨害しようとしたので、ビデオ録画で対抗していた。でも今、とてもご褒美ビデオなんか見れる訳がない。また、敢えて退路を断つ為に、親しい友人には受験を公言してしまっていた。しかし、一番の問題は自分はこれ以上勉強しても、もう伸びしろが無いんじゃないか?と感じていた事だった。一年半やれるだけの事をやって、自分の限界点に到達しているんじゃないか?煮詰まって焦げ付き始めていた。
「でも、じゃあどうする?」
もともと試験に合格するのが目的ではなかった。自分の将来を切り開く為だった。だが、これ以上家族に迷惑をかけるのも気が引けた。勉強を優先するという名目で家庭内での様々な作業を免除してもらっていたのだ。
そんな時に登場するのがウルトラセブンか妻である。一問4点足らず176点で不合格となった結果を見て「もう一回やったら?もったいないじゃん」と言った。そう、私は「もったいない」という言葉に極めて弱かった。