当然予想はしていたが、私が働き始めた店舗には
非常に沢山の人が働いている。
同じ会社が回転寿司の店舗に、隣り合わせで定食屋も運営
していて、キッチンや洗い場を共有している。
店長に聞いたところ、社員とバイトを合わせて延べ50人位の
人が働いていると言う。

仕事を覚えるのも大変だが、人の顔と名前を覚えるのも大変だ。
元々顔と名前を覚えるのが苦手で、これは私が人間に余り興味が
無いからだと思うのだが、昔営業で外回りをしていた時も大変
苦労した。
当然ながら店では50人がいつも働いている訳でなく、日替わりで
メンバーが変わるので益々覚えにくい。

3日目にまた初対面の人が現れた。聞いたところではいわゆる板長
だという事だ。寿司の世界に入って30年以上だという。
叩き上げの職人と言ったところだろうか。
今迄会った人達の中にはいわゆる「寿司職人」と呼べそうな人は
見当たらなかった。
回転寿司だし、ましてや機械のボタンを押せばシャリが出て来る
のだから、極端な話そんな人いなくても寿司は出来る。
そうは言ってもやはり本当の技術を持った人が
いるといないとでは大違いだろう。
私だって東京すしアカデミーで学んだことの何らかの形で
生かせるはずだと思っている。

4日目のランチタイムが終わり、お客さんがまばらになった所で
板長のHさんに呼ばれた。
「東京すしアカデミーに行ったんだって?握ってみて」と言われた。
「カチャポン!」とシャリを出す。
当たり前だがシャリは出来上がっているので、握る必要は無い。
どうしていいか分からず
「どういう風に握ればいいですか?」と聞いてしまった。
「いいから握って!」

仕方ないのでシャリを一つ掴んで、ネタのサーモンを一枚取り
手順だけ見せる。それを見てHさんが何と思ったかは分からない。
ただ「シャリは出来ているから握らずに、ネタを上に乗せればいいから。」
と言われた。
そりゃそーでしょ!

何を見たかったのか。こりゃ大したことないと思ったのか。
ベテラン職人だから私の手つきを見れば、ピンとは来るだろう。
指示されたことの意味が分からず、いかにも手まね的に
やってしまった。
もう少し真剣にやれば良かったろうか?

投稿者

mojo

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